地域の人たちからのメッセージ
一人の人として
子どもたちに向き合っている
山田先生の地域との関わり方は、とにかく自分の足で出向くという印象が強いです。本校の学校医をされているのですが、検診のときだけでなく——先生はバスケット経験者なので——バスケット部にまで顔を出し練習に参加されるんです。お医者さんというよりは、村人その1としてご自身の足で地域に出られていますね。小学校ではおやじの会を立ち上げましたし、家族ぐるみでちゃんとここに根を張りたいとおっしゃって。
学校の内科検診では生徒一人ひとりに名前を確認して「こんにちは」と挨拶をされます。その後で「今日はこの検査をします」とやはり一人ひとりに説明をされる。そのお姿が毎回同じなんです。生徒の相談もそこで受けてくださいます。
山田先生が生徒からもちかけられる相談の内容はこんな感じです。「腰が痛いんです」とか、「10円ハゲができました。どうしたらいいでしょう」とか。また先生の授業の後には生徒から先生にお便りを書くのですが、それに応えるレター相談の中でも子どもたちのささやかな悩み事に一つひとつ丁寧に応えてくださいます。一人の人として、地域の子どもたちに向き合っていらっしゃるのですね。
荒っぽい言葉を使っていた
生徒が変わってきた
「命の授業」をお願いした理由は、先生が総合診療医をされていたからです。赤ちゃんからお年寄りまで診て最期の現場にも立ち会うと伺い、先生の活動も拝見させていただいて、先生なら貴重な体験をしっかり伝えてもらえるのではないかと思ったんです。
子どもたちは「命の授業」を予想以上にしっかりと受け止めてくれました。終わった後は清々しいような、ちょっと大人になったような、しっとりと落ち着いた表情をしていたのが印象的です。
授業はその後の生活態度にも影響を与えました。まず変わったのは言葉ですね。少々荒っぽい言葉を使っていた生徒が、相手をに配慮したような優しい言葉がけをするようになりました。以前から「言葉遣いに気をつけなさい」と注意していたのですが、先生の授業を受けて以降はこちら側からあえて言わなくとも、思いやりの気持ちが出せるようになったのですね。
たまたま専門医である僕に
できることはないか
先生がされている活動の中で今一番興味深いのは、「診られる力を育てるプロジェクト」です。子どもたち自身が自分の体を主体的に診る——お医者さんに診てもらうのではなくて、自分自身で病気に立ち向かう——そんな力を養うプロジェクトをされています。それはとても興味深いです。
山田先生はほんとに少年のような人なんですね。少年をそのまま大人にしたような。で、専門家だったり、素人だったりの絶妙なバランスがきっと皆さんの親しみ、好感度になっている気がします。「医者だからこれをしているのではなく、たまたま医者だった僕にできることはないですか?」という姿勢が周りに、素敵な刺激を与えるのです。その巻き込む力を、先生の無理のない範囲でずっと続けていただけると、先生だけでなくみんなが頑張れるようになります。そこに参加させてもらえるのはほんとに、私も学校の先生やって良かったなと思います。
山田医師に関係する人々