総合診療医という選択

総合診療医という選択

Voice 総合診療医のリアル

医師たちからのメッセージ

川島 篤志 医師金村 斉 医師 

外科的理解もある
頼もしいパートナー

市立福知山市民病院
整形外科 医師

金村 斉

発熱の原因をまっ先に特定。
全身からのアプローチが秀逸

整形外科に発熱された患者さんがおられて、その熱源がどこかを探していたことがありました。僕らが診た場合は局所的な、要は所見が中心になるんですけども、総合診療医の先生は体全体を診察しながらアプローチされますので。で、その時の要因は膝の関節炎やったんですけれども、最初に見つけたのは総合診療医の先生だったということで、驚きましたね。

総合診療医の先生の視点がかなり外科医とは違うといいますか、やはり内服の管理やそれに対する副作用、感染症に対する薬の使い方も、細やかにエビデンスに基づいてされています。そういったところは非常に勉強になります。

また、病棟の患者さんが急変された場合、人工呼吸機を付けたり心臓マッサージをしたりといった対応が必要なんですが、非常に迅速で、その方が回復する最短の治療を選択されています。その点は整形外科とは関係ないのですが、非常に優れてるなといつも思います。

高齢化の時代にあっては、こうしたジェネラルに体全体を診られるということが専門性の一つになってきていると実感します。その点は他の科とは専門性の範囲が異なりますが、特化すべきところだと思います。

整形の“一員”として
患者をささえる

主にリウマチの場合と、高齢者の骨折などの場合に連携しています。総合診療の先生が一人整形外科の一員としておられますので、全ての患者さんを確認いただいています。

リウマチはいいお薬が多く効果的な治療が望めるようになってきているのですが、その反面、副作用への対応が増えているんです。例えば肺炎、感染症ですね。整形外科でフォローしてる方が突然咳や熱を出したときに、総合診療医に相談すると早期にフォローがあります。合併症の対策をすぐにとっていただけるという点が一番ありがたいですね。また、リウマチの方は非常に薬が多いので、内服の調整を患者さんの容体のコントロールと併せてやっていただいています。私たちは手術治療に専念できるということで、非常に頼りにしています。

高齢者の骨折なんですけれども、近年急増していて、これに正比例する形で整形外科医が手術する例が増えているんです。手術自体は30分ぐらいで簡単に終わるのですが、その前後の合併症、つまり患者さんの既往歴や肺炎、その他もろもろへの対策が非常に重要になり、僕たちも時間を割いています。総合診療の先生と連携すると、術前、術後の合併症の対策管理はもちろん、いざ合併症が起こったときに、いち早く対応していただけます。患者さんにとっても即治療してもらえる体制が整っているのは、安心感があるでしょうね。

整形外科では高齢の骨折の方が手術したら、リハビリして退院という流れになります。退院された後の生活では、何人で住まれるとか、どういった方が援助されるのかが患者さんにとっては重要になるんですね。しかし、こうした生活背景の点は、整形外科医はあまりチェックしないと言いますか、そこまで頭が回らないことが多いんです。しかし、総合診療医の先生は、退院後の生活や治療のことまで考えながら、診察に当たっておられることに感心します。

教育、臨床研究の熱意が
人を惹きつける

また、研修医や若手の先生への教育が非常に熱心です。常に毎日カンファレンスされてますし、臨床だけでなく、研究、論文の執筆も力を入れています。市中病院で大学病院のような働きを、川島先生が中心となってされている。

福知山は京都の北の田舎の街です。そこに若手の先生、京都だけではなく、神戸、大阪、東京など、全国各地から若い先生が集まって来られる。これは京都に住んでる僕らからみて、ほんとにすごいことです。教育力によって、全く土地勘もない若い先生が集まるということを実証されていますね。