総合診療医という選択

総合診療医という選択

Voice 総合診療医のリアル

医師たちからのメッセージ

山田 康介 医師黒岩 冴己 医師

都会では学べない
町全体を診る力を
つけたい

更別村国民健康保険診療所
医師(専攻医)

黒岩 冴己

多角的な指摘をうけられる
教育システム

自分が総合診療医を選んだのは、もともと医学部に入るときに憧れた医者が「町のお医者さん」だったからです。大病院の先生でなく、地域の人たちとずっと関係築きながら診察していく医者に憧れていたので、総合診療医を初めから志望していました。

更別診療所は北海道家庭医療学センターが運営しているのですが、僕は学生時代から北海道家庭医療学センターの先生方と面識があって、夏季セミナーなどで教えていただいたり、実習に行ったりしていました。ですからセンターの研修の様子に感銘を受けて入っています。

実習していてすごいと思ったのは研修のスタイルです。外来の研修は一般的に、自分一人でやってその報告を先生にしてフィードバックをいただく形ですが、家庭医療学センターの場合は外来の様子をビデオで撮って、それを先生みんなで共有してフィードバックしていただけます。また初めから指導医に後ろに立って見ていただいて、具体的な身ぶり手ぶり、コミュニケーションの仕方ついても詳しく教えていただます。その充実度にひきつけられました。

家族や地域まで
広い視点で理解できるように

山田先生のことは学生時代から知っていました。勉強会のときに、先生がなぜ家庭医になったかをプレゼンしてくださいました。漫画スラムダンクの最後、主人公の桜木花道と流川楓が握手をするシーンを例に「ある人とある人が心を通わせる瞬間、そういうところが自分のやりたいことなんだ、だから僕は家庭医になったんだ」と仰ったのに感銘を受けて、この先生の考えていることをもっと知りたいと思うようになりました。

もちろん山田先生のもとでは患者さんと心を通わせる医師になりたいのですが、それだけでなく家族や地域など、もっと広い視点から患者さんを理解できるようになりたいと今は思っています。ここでは「この時期は農家が繁忙になるから、こういう生活指導は難しいよ」とか地域に根ざしたアドバイスもいただけます。都会じゃ分からないおもしろい部分です。

もう一つ目指す医師像としては、山田先生も仰っていますが「総合診療は一人で診療できても駄目で、それを幅広くできる組織をつくりあげないといけない」と思うので、そういう組織をつくりあげられるリーダーシップやコミュニケーション、マネジメント力も身に付けていきたいです。

“田舎”だからこそ、
地域全体に貢献するノウハウが学べる

ここに配属になった頃は情報から遠くなってしまうんじゃないかという心配がありました。みんなが東京で最先端の情報や医療に触れている間、いままで出たことがなかった神奈川から、北海道に移り、4年間暮らすのは果たして大丈夫なのかと、周りからも心配されましたし自分でもちょっと心配でした。ですが帯広へのアクセスも良く、東京まですぐ帰れるので、今のところ問題なしです。

それよりも更別村は、ワクチンがほとんど無料になっていたりいるほか、乳児検診などの把握も確立されている環境があります。例えば村の乳児検診の結果が医局の回覧に回ってきて、全員で把握できるんです。そういうシステムが村全体でできているのが特徴的で、貴重な場です。村ひっくるめて地域の医療に貢献していくノウハウや、そうするための日頃の振る舞い方をここでしっかりと勉強したいと思っています。