地域の人たちからのメッセージ
ライフスキルを
身につけられれば、、、
保健師として子育て中のお母さん方の支援をしていく中で、予定外の妊娠で出産を迎える方が少しずつ増えていた現実がありました。お母さん自身が若いためになかなか余裕がなく、子どもに笑顔で接することができなかったり、人とうまくつながれずに孤立してしまったりしていたんです。
その要因がお母さん自身の自尊心の低さや、人間関係のトラブルを解決する力、ストレスに対処する力など、それをまとめてライフスキルって言いますが、それが未熟なまま妊娠出産、子育てを迎えているとずっと感じていました。
可能なら親になる前に自尊心やライフスキルを身に付けてほしい。そうすれば、もっと楽しく子育てできるんじゃないかと。そんな時に山田先生から、ライフスキル教育の話をいただいた時に、私が感じていたところを一致したんです。「そこって必要だよね?」って。大人も子どももライフスキルを学べる地域作りをしたいと、さらべつほーぷを立ち上げました。
最初は、内輪で診療所の先生方とか保健師仲間を集めてライフスキル教育ってこんなのですっていうのから始まり、そのあとはさらべつほーぷの自主的な開催として土日を使って、中学生とか高校生に集まってもらってライフスキル教育のワークショップを開催するという形を取っていました。そういうのを続けていく中で関心を持ってくれたお母さんや先生方が学校のほうに呼んでくださって授業の中でやらせてもらったり、去年は小学生のPTA研修会に呼んでもらって親御さんと小学生向けのワークショップを開催したりしています。いまでは、地域のお母さんとかお父さんとか、専門職じゃない人もメンバーになって広まってきてるのかな、と思います。
あふれる水に対処するより、
蛇口を閉める作業
ライフスキルのひとつストレス対処のワークショップでは、まずリストにある出来事に対して「自分がどれぐらいストレスを感じるのか」をワークするんです。人によってストレスに感じる内容は違いますよね。それがわかるように周りの人とシェアして、「これは自分としてはあまりストレスに感じないけど、他の人はもっと深刻に感じるんだね」と自分と他人とで価値観が違うことを知ることから始まるんです。そして、対処の仕方を子ども自身が考えていくプログラムになっています。ストレス対処はお酒やたばこに頼らない方法を考えられるので、健康問題の予防にも役立ちますね。
その他にもうまく相手に自分の気持ちを伝えるコミュニケーションの仕方とか、相手を大事にしながら自己主張するアサーションの学習などを、ロールプレイしながら身に付けていきます。
すでに顕在化している課題に対処する支援もすごく大事なんですが、子どもたちに学んでもらうことで、その元になってる部分——あふれる水に対処するのではなく、蛇口を閉める作業——が、さらべつほーぷで取り組みたい部分です。ほーぷの仲間で子育て中のお母さんがいるんですが、息子さんが山田先生に憧れて今、医学部の学生として頑張っています。ぜひ、みんなそんな風に育って更別に戻って来てくれるといいなと思います。
家族や住んでる地域に
目を向ける専門性
山田先生はそんな風に、地域づくりにも関わってくださっているので「ほんとにこの人お医者さんかな?」というくらい気さくです。スポーツ大会や地域の行事などで地域住民として顔を合わせることもすごく多いです。いろんな場所ですぐ健康相談みたいになっちゃうんですけど。
私は仕事では建物が近いので、困ったことがあると電話1本入れて「今から行っていいですか?」と相談できます。きっと総合診療医の先生方は、家族のことだったり、住んでいる地域のことだったりと、患者さんの背景を知ろうとする目線があるので地域とも密接なんですね。保健師も個人だけでなく家族単位、地域単位で支援をしてく職種なので、共感できます。
他の町から
うらやましがられます
この村は総合診療医の先生がいてくれるので、家族に何かあるとすぐに相談できるし、必要なときには専門の先生を紹介してもらえるし、すごくありがたいです。赤ちゃんから高齢者まで家族単位で診ていただけるので、家族を連れて行ったついでにちょっと自分の相談もできます。地方だと小児科がなかったりするので、他の町からもすごくうらやましがられます。
町全体としても医療者として今地域になにが必要なのか意見を出していただけるのはありがたい部分です。今、山田先生はいろんな会議に出たり発信したりされています。更別はそれでうまくいっているので、他の地域にもそんな総合診療の先生が増えて、十勝とか北海道とか日本全体までいい環境になっていったらいいですね。どんどん育ってもらえるとうれしいなと思います。
山田医師に関係する人々